2019年にニュースで取り上げられた老後2000万円不足問題が契機となり、「資産運用は怖いというイメージがあり、定期預金にしている」
と考えていた方々が、資産運用の必要性を感じ始めています。
実際に、「長期の資産形成のご相談が増えている」と感じている保険代理店は76%にも上ります。
そんな中、IFAの資格を持たず保険代理店として資産形成の提案をするには、「変額保険」や「外貨建て保険」での提案をするという場面もあるかと思います。
高齢社会の到来を踏まえて、資産形成の重要性を認識されているお客様は増えてきています。
それに対応できる可能性のある商品として「変額保険」があります。
しかし、どのようにして「特別勘定」を選んでよいのかわからないというお客様が多いというのも現状です。
「現在は世界株式インデックスが〇〇パーセントで回ってますよ~」
というトークだけで、今後起こりうる下落のリスクなどの説明を簡単に済ませてしまい販売すると、不況時に下落した特別勘定がいつ回復するのかとお客様が不安になった場合に説明を求められる場面も来るかもしれません。
そんなとき、あらかじめ過去の○○ショックの時はこれくらいの下落幅があり、回復するまでこれくらいの期間を要し、その後はどのような水準で推移していたのか?
と過去のケースをグラフなど視覚的にひとめでわかる説明をすることで、口頭で説明するよりもお客様がはらに落ちるケースが増えます。
協会ではIFAの資格がない保険代理店に対して、「変額保険」を提案する際に「特別勘定」の中身について説明できるようになることで格段に販売がしやすくなるようサポートしています。
特別勘定を説明する際に、保険会社提供資料以外の資料を使用して説明することはありませんが、募集人が、事前にお客様の金融リテラシーを高める意味で「投信NAVI」を使って投資信託の値動きの特徴やリスク・リターンをご説明することで予備知識を吸収しておいていただくことができます。
そうすると変額保険を提案する際に、特別勘定の選定を後押ししやすくなります。
「投信NAVI」で、特別勘定選択の根拠となる考え方を学んでいただくトーク術を習得していただき、お客様への定期的なご訪問や商品の見直し提案のきっかけづくりにもなります。
また、お客様にファンドの値動きの特性を理解していただく際、各資産の値動き、リスク・リターンの特徴、コストなどを比較する材料として過去の値動きをもとにシミュレーションすることができます。
一時払いと積立払いの場合とではおすすめする特別勘定が変わってくることもあるでしょう。その際のご説明の根拠をとなる考え方を学習するのに最適なのが「投信NAVI」の「損益分析」機能です。
【平準払い】する場合と【一時払い】する場合の損益の差などを理解していただけます。
「投信NAVI」を使ってインデックスと同じ値動きをする実在のファンドを選び、シミュレーションをお見せすることで、言葉で説明するよりも視覚的にお客様にご納得いただけます。一例として、比較分析を活用してみます。
【損益分析】機能を使うと以下のようなグラフが作成できます。
株式型は国内株式も世界株式も景気に左右されやすいので契約するタイミングがその後の損益に大きな影響を与えます。
一時払いの場合は、契約するタイミングによっては短期的に大幅な評価損が生じる可能性もあります。
一方平準払いの場合、多少のブレはありますが、長期間積み立て続けることで、着実に利益を積み重ねている様子がみてとれます。
ここで実在の変額保険商品を例にとりご説明します。
例えばソニー生命の「バリアブルライフ」という変額保険には、8つの特別勘定が用意されています。
①国内株式型(インデックス運用)
②国内株式型(アクティブ運用)
③世界株式型(インデックス運用)
④世界株式型(アクティブ運用)
⑤国内債券(インデックス運用)
⑥世界債券型(アクティブ運用)
⑦バランス型
⑧短期金融市場
あなたならどの特別勘定を選びますか?
ここでは、バランス型と短期金融市場を除いてご説明します。
【国内債券型】と【世界債券型】の違い
債券型は金利の積み上げで利益を確定していくという特徴がありますが、国内債券型は我が国の超低金利政策のため長期運用を前提としても金利の積み上げが期待できません。
ところが、世界債券型でしたら、為替リスクをかんがみても長期的にみればある程度金利の積み上げを期待できるという状況です。
ここで「投信NAVI」を使い、【国内債券型】と【世界債券型】のシミュレーションを一つのグラフに収めることでその値動きの違いをで確認いただけます。
【世界債券型】の方が為替ヘッジをしない状況でも、リーマンショックという不況を経ても、長期的にみればいずれ回復し、着実に利益を積み上げていくことがわかります。
【インデックス運用】と【アクティブ運用】の違い
インデックス運用とは、市場全体のおおまかな値動きを表す指標と連動する運用のことで、運用コストが低く抑えられています。
それに対し、アクティブ運用型ファンドは、インデックス運用を上回る運用成果を目指して人員、調査費用などをかけて積極的に運用するためコストが高めです。
もし、アクティブ運用とインデックス運用の成果にそれほど差がないと仮定したら、運用コストが低いインデックス運用を選択するようおすすめするという考え方もあります。
しかし、アクティブ運用の場合はそれなりのコストをかけて銘柄選びをしているだけあってアクティブファンドより運用成果がよいファンドが存在します。
実際にソニー生命のバリアブルライフの世界株式型のアクティブ運用している特別勘定はベンチマークよりもずいぶんよい成果がでています。
このように過去の実績をもとに選定するのもひとつの手段です。
なお、外務員資格を持たない募集人が「投信NAVI」を利用する場合はお客様の金融リテラシー向上のための教育ツールとしての位置づけでご使用ください。実際の変額保険の特別勘定の説明については各保険会社が用意している説明資料を使って説明してください。
また、シミュレーション結果はあくまで実在のファンドの過去の実績であり、その後説明する変額保険の特別勘定の実績とは異なることと、将来の実績を確約するものではない旨のご説明は欠かせません。
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